秘境秋山郷
佐武流山
長野県最北の地,栄村秋山郷は,新潟県,群馬県に接する豪雪地帯で,5月でも場所によっては残雪が1m近くある.1年のうち暖房器具を使わないのが2ヶ月だけだという.時間がゆっくり流れるこの秘境は都会の観光客が多い.下の写真は秋山郷の南側にある村の最高峰,佐武流山(2191m).
布岩山の厚い溶岩流
秋山郷は,周囲を火山に囲まれているが,中津川河床には火山の基盤となっている新第三系が現れている.秋山郷の火山は東北地方からずっと続いてきた鳥海火山帯の南端にあたる.
下の写真は布岩山の厚い溶岩流.布岩山の南に位置する鳥甲火山から流れ出た溶岩層だが,見事な節理が発達していて,下に見える道路と比べてみてもスケールの大きさが判る.
鳥甲山
東側は大崩壊地となっている.この崖は火山噴出物から成っているが,足下には基盤となっている緑色に変質した岩石も見られる.
苗場山
百名山に名前を連ねる苗場山.頂上付近に水平な溶岩の層が認められる.この上に広大な高層湿原があることでも有名である.
この山のふもとに小赤沢温泉がある.名前からもうかがえ知れるように,温泉水が赤い珍しい温泉である.湯口から出てくる温泉水は透明だが,空気に触れたとたんに赤くなる.将にお湯が一瞬にして錆びるのだ.このお湯は鉄とカルシウムが飛び抜けて多く,浴槽の木材はカルシウムが沈着して“石”になっている.
河岸段丘の崖
秋山郷に入るには3通りのルートがある.一般的なのは,一度新潟県に出てから中津川に沿って南下するルートである.この川の西側には比高の大きい河岸段丘があり,説明板によれば「日本一の河岸段丘」だという.
<参考文献>
日本の地質4 中部地方Ⅰ(1988)日本の地質「中部地方Ⅰ」編集委員会編 (宮坂 晃)