長野県(富士見町)と山梨県の県境を流れる釜無川は南アルプスの鋸岳(のこぎりだけ)から流
れ出し、山梨県に入って富士川となる。この川は非常に浸食量が多く、川に構築されているあまた
の堰堤はすべて満杯となっている。釜無川は地質学的には秩父帯と四万十帯を区切る大断層「仏像
糸川構造線」による構造線谷である。大きな断層の近傍では岩石が破壊され、浸食に弱いので地形
的に谷となりやすいのである。
仏像糸川構造線(仏像構造線)は、中央構造線の南側をほぼ並走している大断層で、九州の南端
から始まり関東山地まで延びている。長野県下では佐久から南信濃村までを縦断していながら、こ
の大断層を観察できる場所はごくわずかしかない。
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