長谷村溝口の中央構造線
 大きな断層という場合、その断層が長い、断層面に沿うずれの量が大きい、などが尺度になるが、中央構造線は どちらをとっても文字通り日本最大級の断層である。北は長野県諏訪市の杖突峠から始まり、長野県南部を縦断し 静岡県に抜けてから、紀伊、四国、を貫いて、九州まで達し、総延長が1000キロを超える。また、断層面に沿うず れの大きさも20キロを超えるとされている。  ふつう、断層付近は岩石が破砕されているので、浸食されて谷地形になっていることが多く、見事な断層露頭は 少ないが、長野県内にはこの中央構造線を普通の人にも観察できるように整備されている露頭がいくつかある。 溝口露頭はその一つだ。  上の写真は、溝口露頭を南側から撮ったもの。柵の終わった部分が中央構造線になる。 向かって右側の黒い部分が西南日本外帯に属す三波川帯の結晶片岩類(石墨変岩)で、左側の茶色い部分は西南日 本内帯の岩石である。普通中央構造線の内帯側には領家変成岩類が分布しているが、ここでは、三波川帯の岩石と 領家帯の岩石の間に貫入岩が挟まっている。この貫入岩は内帯側の石である。

 露頭の前に立つ掲示板

 露頭の直上に立つ案内板。中央構造線によって日本の地質は大きく二分されている。

 溝口露頭から南側を望む。一番くぼんだところが分杭峠。ここに向かって中央構造線が伸びている。