念通寺断層
 飯田市の八幡公園、飯田女子短大、松尾鈴岡城公園などの東側は断崖になっている。 断崖は高さ40mあり、松尾・鈴岡城はこの断崖を利用して構築されたものである。  この崖の下には念通寺断層と呼ばれる活断層が走っていて、この断層は飯田市街地 中央部を流れる松川から飯田市南部の久米川まで伸びている。  この断層は、飯田市の市街地の中央部に、地下深いところにあるはずの花崗岩が現れ ているため、昔から存在することは知られていたが、その意味が判ったのは最近のこと である。
 断層の名前の由来となった念通寺。お寺の下の断崖も断層の運動によってできたもの。

この断層の露頭が松尾鈴岡城公園の崖の直下の毛賀沢の河床に現れていて、断崖の意味を知る 上で重要な露頭となっている。(写真上) 右側の白い岩盤は花崗岩(中生代白亜紀のもの)で、左側の茶色っぽい地層は天竜川の礫層 (新生代第四紀のもの)である。見て判るように、古くて下に存在するはずの花崗岩が、相対的 に新しい礫層にのし上げている。(逆断層)つまり、断崖は断層の活動によって右側の古い岩盤 が上昇したためにできたことを物語っているのである。  この露頭は国道151号線から毛賀沢に降り、歩いて10分程度の所にある。
この露頭では主断層と平行な副断層が花崗岩側にも礫層側にも何本も存在して いて、礫層に挟まれる砂の層が副断層近くで引きずられ、めくれ上がっているの が観察できる。 <参考文献> 松島信幸ほか(1993) 伊那谷構造盆地の活断層と南アルプスの中央構造線 信濃毎日新聞社編集局編(1998) 信州の活断層を歩く 中部建設協会(1984) 天竜川上流域地質図
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