大西山の大崩落


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 大鹿村の中央部で小渋川と青木川とが合流する。 合流地点に大西山があり、「三六災害」と呼ばれ る昭和36年6月の梅雨時に発生した集中豪雨に よって大崩落を起こし、42名の方が亡くなって しまった。 (写真↑)崩落崖は高さ150mあり、今でも荒々し い姿を見せている。川沿いの台地状の部分が崩落 した岩塊で、この上に犠牲者の冥福を祈るための 大西山公園がある。  崖の上部に見える赤い部分は花崗岩類、下の灰 色の部分は「鹿塩マイロナイト」と呼ばれる岩石 からなる。  写真手前の建物は中央構造線博物館で、この真 下に中央構造線が南北に走っている。 (写真←)大西公園から見る崩落崖と崩壊岩塊。 (写真↓)大西公園では「鹿塩マイロナイト」の 標本が拾える。 「鹿塩マイロナイト」は、地質屋さんには非常に 有名な石で、中央構造線の活動が始まった初期の 運動によって形成された岩石と言われている。  大きな断層が運動する(ずれる)と、断層面近 傍の岩石は大きな力ですり潰され、元の組織を失 ってチャートのような見かけの石ができる。これ がマイロナイトであるが、中央構造線の活動史を 編む上で極めて重要な情報をもたらすと考えられ る。なお、マイロナイトは中央構造線の西側 (内帯側)にしか存在していない。  写真はマイロナイトの接写。横幅が3cm程度。 白い粒は、元の岩石に入っていた鉱物(長石)で、 この周りに「尾」を引いているのが肉眼でもわか る。 <参考文献> 下伊那教育会 (1986) 下伊那ものしりブック 松島信幸ほか(1993) 伊那谷構造盆地の活断層と 南アルプスの中央構造線 市川浩一郎(1981)概論:中央構造線,月刊地球, 海洋出版 端山好和ほか(1981)中央構造線-その出生の秘 密-,月刊地球,海洋出版 信州理科教育研究会(1994) 台地は語る (宮坂 晃)

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