荒船山と兜岩層
荒船山は長野・群馬両県の県境の分水嶺にそびえる船の形をした山である。(標高1422m)佐久側から見て 右側が船首となり左側が船尾となる。この山はかつての火山で、溶岩流が浸食から残って残丘状になっている。 船首にあたる、とがった部分は角閃石安山岩からなる貫入岩体で、荒船山火山の最後の噴出物である。船尾に あたる部分は溶岩流の高さ150mの大岩壁になっている。写真は内山峠から撮ったもの。登山者は長野県人より 関東方面の人の方が圧倒的に多い。
 この荒船溶岩の直下、星尾峠・陣ヶ平・樽の沢付近には第四紀の湖成層が存在して兜岩層(または本宿層) と呼ばれ、この中には極めて保存のよい植物の葉、花、カエル、昆虫などの化石を含んでいる。この地層は大 地が陥没してできた湖に堆積した地層である。その後、湖は火山噴出物によって埋め立てられていった。 山を登っていくと、最初は軽石質火山灰と泥岩の互層に始まり、次第に凝灰角礫岩が優勢になり最後に分厚 い溶岩層になっていく過程がよく観察できる。   この山の辺りは妙義荒船国定公園に属し水墨画のよな急峻な岩山の景色が美しい。  (写真左上)田口峠付近の兜岩層中の植物化石   (写真右上)星尾峠の凝灰角礫岩 (写真左下)兜岩山のローソク岩         (写真右下)妙義山方向
(写真左)佐久市から見た荒船山 <参考文献> 長野県地学会編(1958)長野県の地学Ⅲ  フォッサマグナの隆起過程編集委員会 (1991)フォッサマグナの隆起過程. 地団研専報38.    (宮坂 晃)
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