八ヶ岳の電波観測施設

 八ヶ岳の東側一帯には、各種、各機関の電波観測施設がある。これは、都市の雑音が少ないこの 地が選ばれているからだ。巡検や遠足、旅行のついでにどうぞ。

野辺山太陽電波観測所・野辺山宇宙電波観測所  東京大学を主とする大学連合体で運営管理されている。いくつかの観測機器があり、主なものは 次の通り。  ●45m電波望遠鏡  波長1mmから10mmの「ミリ波」を観測できる世界最大の電波望遠鏡。すべての物体はその温度に 応じた電磁波を放射するので、数百~数十Kの物体の分布を調べている。ブラックホール、多数の 星間物質の発見などで世界最先端の成果をあげている。(ウィーンの法則)  ●ミリ波干渉計  6台の小型アンテナをケーブルでつなぎ、最大直径約600mの巨大パラボラアンテナに匹敵する解 像力を生み出している。生まれたての銀河の発見や、銀河の活動性の研究、太陽系以外の原始惑星 系の発見などで大きな成果をあげている。  ● 電波へリオグラフ  84台のアンテナを東西500m、南北220mのT字型に並べ、フレアと呼ばれる太陽表面の爆発現象 の研究をしている。

 写真上(↑)  45m電波望遠鏡(奥)と ミリ波干渉計(手前)  写真右(→)   電波へリオグラフ

NHK海外放送送受信局(臼田町)  日本放送協会の海外放送受信施設。広大 な敷地の中にアンテナが”林立”している。 全世界に対する”耳”といえる。

JAXA臼田宇宙空間観測所(臼田町)  宇宙航空研究開発機構運営。このパラボ ラアンテナは宇宙の観測用ではなく、日本 が打ち上げた様々な観測衛星の制御・デー タの受信用に用いられている。研究者たち は神奈川県の相模原に常駐していて、ここ から回線で結ばれて情報のやりとりをして いる。  このアンテナの直径は64mあって、 日本最大級である。 (宮坂 晃)


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