佐久市 中込から群馬県の富岡に抜ける国道254号線の両側には墨絵にも出てきそうな 奇岩が林立している。 この岩体を構成する石は志賀溶結凝灰岩と呼ばれ、北は軽井沢町から南は佐久町大日向 まで千曲川東岸に沿って広く分布し、各地で石材として採掘されている。 火山噴火によって空中に放出された火山砕屑物が高温を保ったまま地表に堆積すると、 中の軽石などが自重でつぶされ、また一部融けてガラス化し、そのまま冷却固結した岩石 ができる。これが溶結凝灰岩である。
溶結凝灰岩の岩体に近寄ってみ ると、レンズ状につぶれた軽石が 観察される。志賀溶結凝灰岩はお よそ300万年前(新生代 第三紀鮮 新世)の火山噴出物である。 <参考文献> 日本の地質『中部地方Ⅰ』編集 委員会(1988)日本の地質4 中部地方Ⅰ. (共立出版) (宮坂 晃)