A.武石(ぶせき) グリ-ンタフ中の黄鉄鉱が形 を残したまま褐鉄鉱に変化したものと言われる。 写真は武石村(たけしむら)の武石公園で採集し たもので、正6面体の結晶形(写真のなかで一番大 きいものが大きさ8mm)になっている。今は大きい ものはほとんど拾えない。
B.海緑石 沢山池から、野倉に向かう林道沿い の砂岩中に含まれている。海緑石は青緑色をした 破片状の鉱物で、生物起源の物質が海底に堆積し これが風化してできた鉱物とされる。写真は、 海緑石を含む砂岩の露頭で、別所層の最下部層に 相当する。 露頭全体が緑がかって見える。
C.沸石 この鉱物は熱すると結晶の間に含まれ ている水分が泡を出すのでこの名がある。針状の 結晶が放射状に集まった形態になっている。放射 肋の末端同士が反対向きにくっ付き、そろばん玉 のように見えるものがあり、地元の人は蛇骨石と 呼んでいる。蛇骨石は沢山池付近でいっぱい拾え る。 この鉱物は長野市の綿内周辺でも大きいものが 拾える。
D.違い石 安山岩が風化し、中に含まれていた 斑晶の斜長石が抜け出たもので、斜長石の結晶が X字に組合わさった双晶となっている。前山寺の 横、弘法山界隈で拾える。本州で採集できるのは ここだけである。
E.村雨石 真田町から松代町に抜ける地蔵峠に 産出する。別所層中に貫入してきた火成岩の接触 変成作用で、水玉状の斑点が現れている。新鮮な 面では灰色の地に黒い斑点が現れるが、風化した 面では写真のように黒地に白い斑点が現れる。 昔は硯用の原石として珍重されたが、今は大きい ものはあまり採れない。
<参考文献> 信州地学研究会(1980)長野県地学図鑑 (宮坂 晃)